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もうひとつの法人化すると生じる税金面でのデメリットは、交際費です。
仕事に必要な交際費は全て経費として認められる個人事業とは異なり、法人ではそうはいきません。
資本金1億円以下の中小企業の場合、年間400万円までの交際費は90%まで経費として認められるのですが、残りの10%は経費として認められません。また、交際費が400万円を越えた部分についても、一切認められていません。ちなみに、資本金1億円以上の法人は、交際費は400万円以下であっても、一切経費になりません。法人は交際費においては個人事業より不利と言えるかもしれません。
ただし、一人あたり5000円以下のお酒の入らない飲食費であれば、交際費ではなく会議費となり全額経費に算入することが可能なばあいもありますので、場合によっては、さほどの損にはならないかもしれません。
税金面でのデメリットの次に、個人事業ではかからない費用について説明していきます。
法人化に当たって、最初にかかる費用は登記費用です。会社設立をする際には登記手続きをする必要があります。
これには定款認証に5万円弱、さらに登録免許税が15万円かかります。さらに登記事項証明書が1通1000円、法人印鑑証明書を取るためには、登記印紙1通500円、電子定款認証をしなければ、収入印紙代に4万円かかります(当サイトを利用すれば、この4万円は不要になります。。
これに、登録を代行してもらうと5万円から10万円はかかるので、総額で25万円から30万円はかかるのが相場です。一時的な費用とは言え、決して安くはない金額がかかります。
一度登記するのに費用はかかるのですが、この内容を変更するのにも費用がかかります。例えば、商号(会社の名称)や本店所在地を変更するのにも、登録免許税としてどちらも3万円かかります。また、役員を変更するのにも登録免許税が1万円かかります。
加えて、これらの手続きを司法書士に代行してもらうと、手数料が別途かかります。このように手続きをするたびに費用がかさんでしまうのが法人のデメリットです。
登記以外にかかる費用もあります。それが会計事務所の費用です。個人事業であれば、複式簿記を使用したとしても、パソコンの会計ソフトを利用するなどして、自分で会計処理を行い、確定申告まですることは可能でしょう。白色申告者の場合は複式簿記を使うこともありません。(これについては口述します。)
しかし、法人の場合は、自分で行うのは難しくなります。法人の会計処理は個人事業のよりも複雑になり、さらに厳密さも要求されるからです。決算や税務申告をひとりで行うことはプロでなければできないといっても過言ではありません。
とはいえ、会計事務所に会計処理を依頼することで、日々の会計処理に頭を悩ませる心配もなくなりますし、税務上のアドバイスをもらったりと、メリットも少なからずあるので、必ずしもデメリットとはいえません。
ここで、個人事業の2つの会計処理について簡単に説明しておきます。個人事業者の場合、白色申告と青色申告にわけられます(法人も白色、青色両方ありますが、ほとんどの場合青色申告です)。
白色申告者の場合、売り上げと科目ごとの経費を集計し、それをもとに白色決算書をつくります。青色申告者の場合は、複式簿記を採用すると65万円の控除を受けることができるため、複式簿記を使う事業主も増えていますが、その分だけ処理は複雑になります。
自動車保険に入った場合、保険料がかかるのは個人事業も法人も同じですが、違うのはその金額です。法人が自動車保険の契約をし、被保険者になると、かかる保険料が個人のものよりも高額になります。
業務に車を使用するということは、個人の場合よりも多く使用する分だけ事故のリスクが上がるとみなされてしまうのです。
自動車を使う業種の場合、自動車保険の金額を計算した方が良いでしょう。
法人になると通信費も割高になります。代表的なものとしては、電話代とネットバンキングの利用料があげられます。電話代はNTTの電話基本料金が住居用(個人事業の場合)よりも800円ほど上がります。
また、ネットバンキングの利用料も法人の方が料金が割高になっています。個人事業の場合はほとんど無料で利用できるのに対し、法人は月額の利用料が1000円以上かかってしまいます。
個人事業主はほどんどの場合、社会保険の適用を受けず、社会保険に比べて少額の国民健康保険や国民年金に加入しているのに対し、法人は社会保険への加入が必須です。社会保険に加入すると手厚い保証が受けられるというメリットもありますが、費用がかかるというデメリットもあります。
健康保険と厚生年金は給料と通勤交通費の合計に課税される上、保険料率は14,642%と高いのです。健康保険は最大で月額9万2414円、厚生年金は最大で月額9万780円かかり、この半分を法人が負担します。これだけの額を毎月納めるのはかなりの負担といえるでしょう。
雇用保険と労災保険は、法人化して初めて従業員を雇う際に加入するのが必須となっています。雇用保険は業種によって保険料率が異なりますが(1,95~2,25%)、算出された保険料を個人と法人で負担します。なお、健康保健や厚生年金とはことなり、折半ではなく法人の負担割合の方が大きくなっています。
一方、労災保険は全額が法人の負担です。こちらも業種の危険度に応じて保険料率が異なります(0,45~11,8%)。
雇用保険と労災保険のどちらにせよ、法人化して初めて従業員を雇う場合に、加入しなければならないので、法人化して従業員を雇う予定のある方は、保険料がかかることも計算に入れなければなりません。
会社設立をするメリットの項で個人事業と法人の資産が区別されていることを説明しましたが、それによってメリットだけではなく、デメリットも生じます。
個人事業の場合、事業資金に自由に出し入れすることができます。会計処理の際には事業主借と事業主貸という2つの勘定科目を使えば、問題なく行えるのです。
ところが、法人の場合は個人が勝手に資金に手をつけることはできません。例え自分一人の会社であっても、会社の資金の個人的な利用はできません。もし使う場合は、法人から役員に貸し付けたという形になり、厳密な処理が必要になります。
この点は個人事業主が法人化すると不自由に感じることも多いと思います。