第八百六十五条 社債を発行した会社が社債権者に対してした弁済、社債権者との間でした和解その他の社債権者に対してし、又は社債権者との間でした行為が著しく不公正であるときは、社債管理者は、訴えをもって当該行為の取消しを請求することができる。
2 前項の訴えは、社債管理者が同項の行為の取消しの原因となる事実を知った時から六箇月を経過したときは、提起することができない。同項の行為の時から一年を経過したときも、同様とする。
3 第一項に規定する場合において、社債権者集会の決議があるときは、代表社債権者又は決議執行者(第七百三十七条第二項に規定する決議執行者をいう。)も、訴えをもって第一項の行為の取消しを請求することができる。ただし、同項の行為の時から一年を経過したときは、この限りでない。
4 民法第四百二十四条第一項 ただし書及び
第四百二十五条 の規定は、第一項及び前項本文の場合について準用する。この場合において、
同法第四百二十四条第一項 ただし書中「その行為によって」とあるのは「会社法第八百六十五条第一項に規定する行為によって」と、「債権者を害すべき事実」とあるのは「その行為が著しく不公正であること」と、同法第四百二十五条中「債権者」とあるのは「社債権者」と読み替えるものとする。
第八百六十六条 前条第一項又は第三項の訴えについては、同条第一項の行為の相手方又は転得者を被告とする。
第八百六十七条 第八百六十五条第一項又は第三項の訴えは、社債を発行した会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
第八百六十八条 この法律の規定による非訟事件(次項から第五項までに規定する事件を除く。)は、会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 親会社社員(会社である親会社の株主又は社員に限る。)によるこの法律の規定により株式会社が作成し、又は備え置いた書面又は電磁的記録についての次に掲げる閲覧等(閲覧、謄写、謄本若しくは抄本の交付、事項の提供又は事項を記載した書面の交付をいう。第八百七十条第一号において同じ。)の許可の申立てに係る事件は、当該株式会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 当該書面の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付
二 当該電磁的記録に記録された事項を表示したものの閲覧若しくは謄写又は電磁的方法による当該事項の提供若しくは当該事項を記載した書面の交付
3 第七百五条第四項、第七百六条第四項、第七百七条、第七百十一条第三項、第七百十三条、第七百十四条第一項及び第三項、第七百十八条第三項、第七百三十二条、第七百四十条第一項並びに第七百四十一条第一項の規定による裁判の申立てに係る事件は、社債を発行した会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
4 第八百二十二条第一項の規定による外国会社の清算に係る事件並びに第八百二十七条第一項の規定による裁判及び同条第二項において準用する第八百二十五条第一項の規定による保全処分に係る事件は、当該外国会社の日本における営業所の所在地(日本に営業所を設けていない場合にあっては、日本における代表者の住所地)を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
5 第八百四十三条第四項の申立てに係る事件は、同条第一項各号に掲げる行為の無効の訴えの第一審の受訴裁判所の管轄に属する。
第八百六十九条 この法律の規定による許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
第八百七十条 裁判所は、この法律の規定(第二編第九章第二節を除く。)による非訟事件についての裁判のうち、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者(第四号及び第六号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。
一 この法律の規定により株式会社が作成し、又は備え置いた書面又は電磁的記録についての閲覧等の許可の申立てについての裁判 当該株式会社
二 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項若しくは第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、清算人、第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項若しくは第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、検査役又は第八百二十五条第二項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の管理人の報酬の額の決定 当該会社及び報酬を受ける者
三 清算人又は社債管理者の解任についての裁判 当該清算人又は社債管理者
四 第百十七条第二項、第百十九条第二項、第百七十二条第一項、第百九十三条第二項(第百九十四条第四項において準用する場合を含む。)、第四百七十条第二項、第七百七十八条第二項、第七百八十六条第二項、第七百八十八条第二項、第七百九十八条第二項、第八百七条第二項又は第八百九条第二項の規定による株式又は新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取りの請求があったときは、当該社債を含む。)の価格の決定 価格の決定の申立てをすることができる者
五 第三十三条第七項の規定による裁判 設立時取締役、第二十八条第一号の金銭以外の財産を出資する者及び同条第二号の譲渡人
六 第百四十四条第二項(同条第七項において準用する場合を含む。)又は第百七十七条第二項の規定による株式の売買価格の決定 売買価格の決定の申立てをすることができる者(第百四十条第四項に規定する指定買取人がある場合にあっては、当該指定買取人を含む。)
七 第二百七条第七項又は第二百八十四条第七項の規定による裁判 当該株式会社及び第百九十九条第一項第三号又は第二百三十六条第一項第三号の規定により金銭以外の財産を出資する者
八 第四百五十五条第二項第二号又は第五百五条第三項第二号の規定による裁判 当該株主
九 第四百五十六条又は第五百六条の規定による裁判 当該株主
十一 第七百四十条第一項の規定による申立てを認容する裁判 社債を発行した会社
十二 第七百四十一条第一項の許可の申立てについての裁判 社債を発行した会社
十三 第八百二十四条第一項の規定による裁判 当該会社
十四 第八百二十七条第一項の規定による裁判 当該外国会社
十五 第八百四十三条第四項の申立てについての裁判 同項に規定する行為をした会社
第八百七十一条 この法律の規定による非訟事件についての裁判には、理由を付さなければならない。ただし、次に掲げる裁判については、この限りでない。
第八百七十二条 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。
一 第六百九条第三項又は第八百二十五条第一項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による保全処分についての裁判 利害関係人
二 第八百四十条第二項(第八百四十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定による申立てについての裁判 申立人、株主及び株式会社
三 第八百四十二条第二項において準用する第八百四十条第二項の規定による申立てについての裁判 申立人、新株予約権者及び株式会社
四 第八百七十条各号に掲げる裁判 申立人及び当該各号に定める者(同条第二号、第五号及び第七号に掲げる裁判にあっては、当該各号に定める者)