第四百九十二条 清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録及び貸借対照表(以下この条及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。
2 清算人会設置会社においては、財産目録等は、清算人会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、財産目録等(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4 清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。
第四百九十三条 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部又は一部の提出を命ずることができる。
第四百九十四条 清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日又はその後毎年その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。)に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
2 前項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
3 清算株式会社は、第一項の貸借対照表を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該貸借対照表及びその附属明細書を保存しなければならない。
第四百九十五条 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)においては、前条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。
2 清算人会設置会社においては、前条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、清算人会の承認を受けなければならない。
第四百九十六条 清算株式会社は、第四百九十四条第一項に規定する各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書(前条第一項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告を含む。以下この条において「貸借対照表等」という。)を、定時株主総会の日の一週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、その本店に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、清算株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一 貸借対照表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
三 貸借対照表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって清算株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3 清算株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該清算株式会社の貸借対照表等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
第四百九十七条 次の各号に掲げる清算株式会社においては、清算人は、当該各号に定める貸借対照表及び事務報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
一 第四百九十五条第一項に規定する監査役設置会社(清算人会設置会社を除く。) 同項の監査を受けた貸借対照表及び事務報告
二 清算人会設置会社 第四百九十五条第二項の承認を受けた貸借対照表及び事務報告
三 前二号に掲げるもの以外の清算株式会社 第四百九十四条第一項の貸借対照表及び事務報告
2 前項の規定により提出され、又は提供された貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、第一項の規定により提出され、又は提供された事務報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
第四百九十八条 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、第四百九十四条第一項の貸借対照表及びその附属明細書の全部又は一部の提出を命ずることができる。
第四百九十九条 清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
第五百条 清算株式会社は、前条第一項の期間内は、債務の弁済をすることができない。この場合において、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
2 前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。この場合において、当該許可の申立ては、清算人が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。